ケイト・グリーナウェイ賞

 さきほど、2009年ケイト・グリーナウェイ賞が発表されました。今回はキャサリン・レイナーの "Harris Finds his Feet" です。

 すごいですね、レイナー。デビュー作 "Augustus and his Smile"(『オーガスタスのたび』)でいきなりショートリスト入りし、この第2作で受賞。第2作とほとんど同時に出た "Posy" もロングリスト入りを果たしています。この春に出た "Sylvia and Bird" がまたすばらしかったので、次回それで受賞になるかと思っていました。

"Harris Finds his Feet" と "Posy" については、こちら

 レイナーさん、おめでとうございます!


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オスカーのひみつ

 新刊のお知らせです。

 大日本図書から いがらしあやさん の訳で出ているエマ・トムソン作のしかけ絵本『イザベラのひみつのおもちゃばこ』の続編(原書ではシリーズ第3作)、『オスカーのひみつ』が大日本絵画から出版されました。

「イザベラのひみつのおもちゃばこ」は、イザベラという女の子(絵本では顔は一度も出てきませんが、おしゃれな子のようです)が持っているふしぎなぬいぐるみたちのお話です。イザベラはそのぬいぐるみたちが入ったおもちゃばこの鍵を何年もなくしたままでした。やっとその鍵を見つけたとき、イザベラは中のぬいぐるみが動いたりしゃべったりする特別なおもちゃだということに気づきます。シリーズ第1巻の『イザベラのおもちゃばこ』では、そのぬいぐるみたちが紹介されます。『オスカーのひみつ』は、そのなかの1ぴき、きりんのオスカーを主人公にしたお話です。ある日、イザベラはぬいぐるみたちを連れてピクニックに出かけようとしますが、オスカーだけがバスケットからころげおちてしまい、ひとりで留守番することになります。初めはしょんぼりしていたオスカーですが、もともと陽気な性格でもあり、すぐに気を取り直して、せいいっぱい留守番を楽しもうとします。

『オスカーのひみつ』は『イザベラのひみつのおもちゃばこ』より小ぶりの絵本ですが、しかけはたっぷりとついています。めくったりひっぱったり、スライドさせたり、たたんであるしかけを広げたり、見開きごとにいろんなタイプのしかけを楽しめます。ページが大きく広がるところもあれば、ポップアップもあります。表紙のオスカーの背中はふわふわやわらかいタオル地iになっています。
 カラフルでかわいいイラストに愉快なストーリー、それに楽しいしかけがいっぱい。プレゼントにいかがですか?



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『だいだいいろの童話集』

「アンドルー・ラング世界童話集」の第10巻『だいだいいろの童話集』(アンドルー・ラング編/西村醇子監修/東京創元社)が刊行されました。

 この巻では「ジャッカルの冒険」(ベルベル人の昔話)と「三つの宝」(スラブの昔話)というふたつの話を担当しました。

「ジャッカルの冒険」は、前半がずる賢いジャッカルがお人よしのヒョウをひっかける話、後半はそのジャッカルが羊飼いに一杯食わされて一巻の終わり……という話になっているのですが、全体になんとものどかなムードが漂っています。ジャッカルの友だちのハリネズミ(これもちょっとずるい)やヒョウの友だちのヤマウズラなど、脇役にも味があります。

「三つの宝」は、三人兄弟の末っ子の成功譚です。……が、どうも「めでたしめでたし」とはすっきりいかないような。兄ふたりにいじめられる末っ子は「頭は悪いけど優しい子」なのですが、巨人の家から宝の品を持ち逃げしたかと思うと、ゆきずりの老人を次々にだましてさらにふたつの宝を自分のものにします。父親はその優しい心を大事にしろと言い遺して死んだはずなんですが、それでいいんでしょうか。末っ子は三つの宝を使って一国の王になり、幸せに一生を終えます。けれども、話はまだ続きます。子孫の王たちが、祖先が貧しい家の出だということを恥じて三つの宝をないがしろにし、そのために、そのまた子孫の代になって国が滅びたというのが話の結末。因果応報のポイントはそこなの?とつっこみたくなります。

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訃報:永井淳さん

 ゴルフダイジェスト社月刊「Choice」誌上にて連載中のゴルフ小説「グレイテスト・デイ」の監訳をしてくださっている永井淳さんが、4日、間質性肺炎のため亡くなられたそうです。

 ご高齢とは存じておりましたが、こうして訳文に丁寧に手を入れてくださっているご様子ではまだまだお元気でいらっしゃるとばかり思っていました。「グレイテスト・デイ」翻訳に際しては、R.I.C.Publications とゴルフダイジェスト社を通して訳文をお渡ししただけで、直接には何のやりとりもなく、ご挨拶をさせていただく機会もありませんでしたが、翻訳経験も浅く、ゴルフ経験もないわたしの拙い訳を監訳していただけるのは大変光栄でありがたいことと感謝しておりました。

 連載は、今月発売の7月号では、長い前置きの部分を終え、いよいよゲームが開始されたところまで来ました。この小説ではゲームの背景や登場人物それぞれの人生の軌跡も読みごたえのあるドラマになっていますが、やはり実際に試合がスタートして、実況中継さながらに1打1打の展開を追っていくメイン部分のおもしろさは格別かと思います。
 永井さんの訃報に接したのは7月号見本誌の到着の翌日のことでした。単行本刊行までお待ちいただけなかったのが残念です。

 謹んでご冥福をお祈りいたします。

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もとしたいづみさん

 やまねこ翻訳クラブ発行の無料メールマガジン「月刊児童文学翻訳」5月号が発行されました。

 翻訳家や作家などの方々へのインタビューコーナー「プロに訊く」で今回お話をうかがったのは、ポリー・ダンバー作品の翻訳を多く手がけられている、もとしたいづみさん。もとしたさんといえば、『すっぽんぽんのすけ』(荒井良二絵/鈴木出版)以来のファンなもので、今回はお願いして、インタビューに同行させていただきました。

 実はわたしはインタビューというものは初めてで、すっかり緊張していたのですが、もとしたさんはとても気さくな方で、楽しいお話をいろいろうかがいました。記事には一部しか反映できませんでしたが、おもしろいこぼれ話が途中でぽんぽんと飛び出し、ィンタビューの間中笑いっぱなしでした。人間に対する好奇心のすごく強い方で、語ることがほんとに大好きでいらっしゃるんだな、というのが、お会いした感想です。

 また、今号の「月刊児童文学翻訳」では、インタビュー記事の連動企画として、『みーんな いすの すきまから』(マーガレット・マーヒー文/ポリー・ダンバー絵/フレーベル館)のレビューを書かせていただきました。リズミカルな文とにぎやかな絵で語られるナンセンスなお話で、読み聞かせでも大好評の絵本です。

 この絵本は、やまねこ翻訳クラブ会員の投票による「やまねこ賞」の2008年絵本部門大賞受賞作品でもあります。
 ほかにもとしたさん訳のポリー・ダンバーの絵本としては、わたしは『くっくちゃん』』(ジョイス・ダンバー文/フレーベル館)が好きなのですが、

『くっくちゃん』はポリー・ダンバー自身によって人形劇になっているようです。

http://www.longnosepuppets.com/blog/?page_id=114

 この人形劇団「ロングノーズ」のサイトには、かわいいリアルくっくちゃんの写真も!

http://www.longnosepuppets.com/blog/

 もとしたさんにはインタビュー後、『みーんな いすの すきまから』と『すっぽんぽんのすけ』の絵本にサインをいただきました。『すっぽんぽんのすけ』は娘が幼稚園年少さんのときにもらって、くり返し読んだ「こどものくに たんぽぽ版」のペーパーバックです。思い出の絵本にサインしていただき、大感激です。

Supponsign

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上野の森 親子フェスタ

 昨日から明日まで、上野公園で「上野の森 親子フェスタ」が開催されています。

http://www.jpic.or.jp/ueno/index_schedule.html

 先日ご紹介した、「科学しかけえほんシリーズ」も3作品すべて、見本が展示してあります。

 ちょっとお高いこのシリーズですが、現地では割引価格で販売されています。出店各社の書籍がどれもお安く買えますし、この大日本絵画のテントでは、ふだんはなかなか見られないたくさんのしかけ絵本の見本が展示してあるので、見るだけでも楽しいです。おはなし会も一日じゅう開催されています。入場は無料。明日もありますので、おでかけになってみては?

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海のしかけ絵本

 昨年は、しかけ絵本のお仕事をたくさんいただきましたが、その1冊めが刊行されました。

『海洋探検――海岸の潮だまりから水深6000mの深海へ』(ジェン・グリーン著/大日本絵画)

 この絵本のしかけは「3D」になっています。「潮だまり」「サンゴ礁」「ケルプの森」「闇の中で生きる」「ブラックスモーカー」という5つのシーンが立体的に再現されていて、透明シートを使った「潮だまり」「サンゴ礁」のページでは、まるでほんとうに水の中をのぞいているように感じられます。

Siodamari

Kelp

 しかけのページには、その場面の概説と、そこに暮らすさまざまな生物たちの簡単な紹介がされています。紹介されている生物たちを、立体しかけの中に探して遊ぶこともできます。それぞれの場面については、さらに2ページずつ、詳しい解説があって、いろいろと興味深いトピックがとりあげられています。冒頭6ページは海洋全体についてのあらましが紹介されています。海流や海の垂直区分、食物連鎖や共生などについての説明があります。オールカラーでとてもきれいなので、ながめているだけでも楽しいですし、かなりの情報量があるので、高学年のお子さまでも堪能していただけることと思います。 お魚好きのお子さまのいらっしゃる方には、かなりオススメです。

 これは、海とそこに暮らす生き物について、楽しく読んで興味をもってもらおうという、科学的興味への入り口的な絵本ですので、楽しく、わかりやすく、ということが優先されている点はご容赦ください。中には必ずしも正確ではない描写もありますが、訳出に際しては、事実に即してなるべく誤解のないようにということを心がけました。葛西臨海水族園の職員の方々には、いろいろと質問させていただきましたが、大変丁寧に教えてくださり、有益なご助言をたくさんいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

 この「科学しかけえほんシリーズ」には、ほかに『太陽系探検』(イアン・グラハム著/あかつかきょうこ訳)、『熱・温帯雨林探検』(ジョー・フルマン著/きくちゆみ訳)があります。

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『ちゃいろの童話集』

「アンドルー・ラング世界童話集」の第9巻『ちゃいろの童話集』(アンドルー・ラング編/西村醇子監修/東京創元社)が刊行されました。

 今回わたしが担当したのは、ラップランドの2作品、「馬や牛が人に飼われるようになったわけ」と「太陽の妹」です。

「馬や牛が人に飼われるようになったわけ」は、なんてことのない縁起話で、男の子ののどかな口調と、クマやオオカミなどの動物のちょっとおかしみのある性格を単純に楽しんでいただければと思います。

「太陽の妹」は、簡単に言えば、城に使えていた庭師の息子が絶世の美女と結婚する話。庭師の息子が「太陽の妹」と呼ばれる美女と出会うことになったいきさつと、その「太陽の妹」と結婚の約束をした経緯、そして、その結婚を王に許してもらうための試練、三つめの試練を果たしたあとに庭師の息子がへまをして太陽の妹と別れ別れになり、また再会するまでの旅という、いくつもの冒険譚から成っている物語です。

 シリーズ全体の作業としては、いよいよ最後の巻の初稿を提出するところまできました。今まで数冊を並行作業してきたのが、ここからは並行する巻が1冊、また1冊と少なくなっていきます。そう思うとさびしいです。

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Sylvia and Bird

『オーガスタスのたび』の作者、キャサリン・レイナーの第4作が出ました。レイナーの絵本は、昨年4月に出た"Posy" と "Harris Finds His Feet" がそろってケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト入りしています(ショートリスト発表は4月になります)。どれもすてきな絵本ですが、今回のは今まで以上にすばらしいと思います。

"Sylvia and Bird"(by Catherine Rayner, Little Tiger Press)
ISBN: 978-1845068561

 シルヴィアはドラゴンです。シルヴィアは遠く離れた高い山のてっぺんにひとりぼっちで暮らしています。これまで自分の仲間と出会ったことはありません。シルヴィアはさびしくて、大きなため息をつきます。そのときふと目にとまったのは1羽のかわいらしい小鳥でした。小鳥はそこに巣をつくり、シルヴィアと友だちになりました。けれども小鳥には仲間がいます。小鳥が仲間とおしゃべりを始めると、シルヴィアは孤独をひしひしと感じるのです。夜空にかかる月を見上げ、あそこになら自分の仲間がいるだろうかと考えるシルヴィアに、小鳥は言います。「いっしょにお月さまに行こう」そして……。

 このドラゴンの美しいこと。絵本の見返しがシルヴィアの体のもようになっているのですが、ほんとうに息を呑む美しさです。
『オーガスタスのたび』も "Harris Finds His Feet" も主人公の「気づき」をテーマにしていました。それは今回も同じです。ただこの絵本は、絵もストーリーもこれまでで最も叙情性に優れた胸に響く作品となっています。ほんとうに感動しました。



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『べにいろの童話集』

「アンドルー・ラング世界童話集」の第8巻『べにいろの童話集』(アンドルー・ラング編/西村醇子監修/東京創元社)が刊行されました。

 今回わたしが担当したのは、「不死を求めて旅をした王子」と「にせ王子、あるいは、野心家の仕立屋の話」の2編です。

「不死を求めて旅をした王子」は、どうしても不死になりたい王子が、とことん「不死」にこだわって、案外あっさりと不死の国を見つけてしまう話……なんていうと元も子もないのですが、どうして王子がそんなに不死になりたいのか、いまいち理解できません(^^;)。それで、不死になってよかったのかどうかもよくわからないのですが、途中で出会う600年、あるいは800年、1000年は死ねないという人々とのエピソードや、不死の国の女王と死神の勝負など、なかなかおもしろい筋書きになっています。

「にせ王子、あるいは、野心家の仕立屋の話」は、自分はひょっとして高貴に生まれるべき人間だったのでは?と勘違いしてしまっている仕立屋のラバカンの物語。ラバカンはとある王子と知り合いますが、王子は、故あって生まれてすぐに別れたきりの父王に会いに行くとちゅうだというのです。ラバカンは王子の証である短剣を盗み、王子になりかわって王さまの前に名のり出ます。いろいろと道徳的な要素の入った話ですが、罪もない王子を陥れようとしているラバカンの迷いや不安、理屈ではなく本能で我が子を見抜いたお妃さまの母心、素直に自分の間違いを認められない王さまの逡巡など、登場人物の内面が生き生きと描かれています。

 刊行が始まって1年、翻訳作業のほうは、いよいよ最終巻に入りました。残り4巻もどうぞお楽しみに。

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